No.103: 『我が愛しの神々よ(その1)』

はいどーも。ご無沙汰紫乃女です。
皆様ご機嫌いかがですか?

「あいつ更新もしやがらねぇで何やってたんだ」
というお声がここまで聞こえてきそうですが、Facebook のほうはたまに更新してますよ。

今、Facebookのほうで「銀30枚」っていう非公開グループ
(非公開&招待制にしておかないと、中国の方々からの妙な広告書き込みが舞い込むので)
管理してるんですけど、そっちでは日々質疑応答にレス入れてるんで、紫乃女の生存確認をしたくなったら、
お手数ですがmixiじゃなくてFacebookのほうを覗いてみて頂けますと助かります。
(基本、Twitterではアホなことしか言ってません)

まぁそれはともかく。
そのFacebookのほうで本家(このサイトのこと)のコラムのお題を募集したところ、
「紫乃女が好きな神々について書け」と言われたんですよね。
そんなもん読んで誰が何の得になるんだろうとは思いますが、まぁ募集した手前文句も言えませんので、
お時間&ご興味のおありの方は少々お付き合い頂けますと幸いです。

しかもこのコラムが終わったら、鬼の細十氏のリクエストによる「スポジュメン」のコラムまで
書かないといけないことになってるんですよね(-“-)
細十氏には「いったん食いついたら雷が鳴るまで離さない」と宣言されましたので、
どなたか手の空いている方は細十氏の頭に雷を落としまくって下さらないでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。

まぁぼやいててもしょうがないので、ちゃっちゃと話を進めましょう。

薔薇さんとこでヒエログリフの護符とか書いているせいで、「紫乃女はエジプトの神々が好きなんだ」と
思われがちですが、まぁ半分正解です(´・_・`)b
ただ、エジプトの神々っつーても、いわゆる「有名所」な神々は嫌いであることが多いですね。
ホルスとかイシスとかオシリスとかホルスとかホルスとかね!(ノ*`´)ノ⌒┻━┻

まぁあたしはほれ、キリストの弟子の中でもユダ擁護派というちょっと変わった
嗜好を持つ人間ですので、オシリスのような王道(?)な神々は苦手です。
(聖☆おにいさんだとペトロ&アンデレ兄弟が大好き。マジパネェ!)

ただ、苦手というからにはちゃんと理由もあります。
好きな神々を語ろうと思ったら、そうじゃない神々がなぜ苦手なのかも話すべきだと思いましたので、
まずはそっちからご説明してゆきましょう。

えーっと、昔々あるところに、「混沌たるもの」が存在していました。
どんな神話でも最初はタダの混沌なもんなんです。そこから全てが生まれてゆくのです。

だからキリスト教における『創世記』が、ヘブライ語「bet(ベート)=2」で始まるのは
実に興味深いですね。数字の概念も兼ねているヘブライ語なのに、全ての始まりと同時に存在していたはずの
神の物語をなぜ最初の文字であ「alef(アレフ)=1」で始めなかったんでしょう?
この問題に関してはすでにキリスト教徒の方々から主たる神YHVHに好意的な解釈が出ていますが、
どっこい、あたしは黒魔道師。そうは問屋が卸しませんよ( ̄▽ ̄)b)
ま、YHVHに話が及ぶといつまでたってもこのコラムが終わりませんので、話をエジプトに戻しましょう。

ただまぁエジプト神話も古いもんでね、どの神が誰からどの順番でどう生まれたかってのは
正直諸説モロモロなんですよ。なのでまぁとりあえず一番分かりやすい説でいきましょうかね。

えーっとでは、仕切り直して。

昔々あるところで混沌(ヌン:NUN) がぼーっとしてたら、「このままじゃ話全然進まへんやん!
世界作らなあかんのとちゃうの!?」てことで蛇の姿をしたアトゥム神が混沌から自力で生まれてきました。

んで生まれてきたものの、
「うわ、僕一人しかおらへんやん!他の神々作らなあかんけどお嫁さんおらへんししゃあないわー」ってことで、
孤高なるアトゥム神は自慰を行い、2人の神々(大気の神シューと湿気の女神テフヌトを作りだしました。

作られた2名の神々も子作りに参加し、大地の神ゲブと天空の女神ヌトが生まれました。
そして作られたその2名の神々も子作りに参加し、ようやく有名所のオシリス・イシス・セト・ネフティスが
生まれたわけです。(オシリスとセトは男神、イシスとネフティスは女神)

そして彼らも偉大なる前例に従い、オシリスはイシスを、セトはネフティスを
お嫁さんにもらうことにしました。

今でこそ冥界の神であるオシリスも、最初は生産の神でした。彼はエジプトの民に小麦の栽培法を教えたり、
ワインの作り方を教えたりして、民衆から絶大な人気を得ました。
んで奥さんのイシスがこれまた大地(土壌・豊穣)の女神様なものですから、
この産めよ増やせよコンビは息ぴったりで、エジプトの民は彼ら2神を信奉してやみませんでした。

そうなると面白くないのが弟のセトです。
ホントは自分が先に生まれたくて、産道をショートカットしてオシリスを先回りしたはずなのに、
結局はオシリスのほうが先に産まれちゃって自分は次男坊になっちゃいました。
おまけにセトは砂漠担当です。砂嵐の神なのです。精力(性欲)も司りはしましたけれど、
どっちかっていうと荒事(戦争とか)が専門なので、一般民衆の支持はイマイチです。

しかもセトの奥さんのネフティス女神は夜を司る神なので、
オシリス&イシスコンビに比べると、どうしても華やかさに欠けてしまいます。
「なんだいお兄ちゃんとお姉ちゃんばっかり人気出てつまんないの!」と
セトは普段から不満に思っていたわけです。

そんなある日、セト主催の宴会が行われた夜のことでした。
主賓として招かれていたお兄ちゃんのオシリスは、ちょっとお酒が入りすぎていて
要するに酔っぱらっちゃってて)
自分の奥さんのイシスと妹のネフティス(セトの奥さん)を 間違えちゃうんです。

まぁ間違えるだけなら良かったんですけど、
その…まぁ、ネフティスもたいがいな性格なものですから、二人して悪ノリして、
ちょっといくとこまでいっちゃうんですよね。(この時産まれた不義の子がアヌビス神です)
んで、間の悪いことに、その不倫現場を、遅れてネフティスの寝室にやって来たセトが目撃しちゃうんですよ。
まさに火曜サスペンス劇場!というわけですな(´・_・`)b

まぁ当然のことながら、寝取られ男のセトは大激怒です。
俺の女房と何やってんだ兄ちゃーん!と、怒り心頭になっちゃったセトの謀(はかりごと)により、
オシリスは棺桶に突っ込まれてナイル川に放り出されてしまいました。

まぁセトもやりすぎっちゃーやりすぎだけど、戦の神の女房寝取ろうってんだからオシリスもこれくらいは
覚悟してコトに及ぶべきだったのでは…と個人的には思いますね。

んでまぁ、さすがのオシリスも、棺桶詰め状態で川に放り込まれたんでは生きてはいられず、
結局は死んでしまうんですよね。でも出来た女房のイシス女神は一生懸命浮気亭主の棺桶を捜索し、
とうとう発見して、葦の茂みの中にいったんそれを隠しました。
後で蘇生させるつもりだったのです。

ところが運悪く、イシス女神がオシリスの棺桶を発見したことを、セトが耳にしてしまいました。
怒らせるとしつこい戦神は、オシリスの遺体を今度はバラバラに切り刻んで再度川に投げ込んでしまったのです。
さすがのイシスも、バラバラにされた死体では蘇生させることが出来ませんでした。

しかもね、イシスも一生懸命バラバラパーツを拾って集めたんだけど、
どうしても1か所だけ見つからなかったんですよ。
(ナイル川に住むワニがそこを食べちゃってたから)
まぁその発見出来なかった身体の部位ってのが問題なんですけどね…。
えーっとまぁ要するに男性のあそこです。子作りするには欠かせないあの器官です。

んで見つからないのはもうしょうがないので、臨機応変なイシス女神は、なんと木でその器官の模造品を作り、
それを代用することによって、バラバラパーツを縫い合わせただけの夫の遺体と子作りに励みます。
その時出来た子がホルス神…というわけです。

その後、成長したホルスは、「よくもお父ちゃんを殺したな!」ということで、自分のおじさんにあたる
セトと実に80年ほど戦って、すったもんだの末、とうとう勝利を収めました…という流れなんですね。
(ホルスの目に魔除けの力があるというのはこのセトとの戦いのエピソードが元になっています)

さて。

これ以上はこのコラムの本題から外れますので、ややこしい家系図の話はここまでにして。

紀元前3000年代、セトはオシリスやホルスよりも崇められた神でした。なんてったって戦の神ですからね!
ナイル下流の下エジプト近辺では人気絶大だったのです。
しかし時代の移り変わりと共に、だんだん兄貴のオシリス神が頭角を現してきて、それと同時に
「父親をセトに殺されたけれど頑張って仇を取った」ホルス神も信仰の対象となってゆきました。
今ではエジプトで人気のある神々といえばこの2名が代表格でしょう。

でもセトは元々は太陽神ラーの乗る船を守護する神でした
その絶大なる武力を持って、太陽の船を混沌に落とし込もうとする悪の化身アペプ蛇から
太陽を護る神だったのです。オシリスとホルスの人気が高まるにつれ、だんだんと「悪者」の
イメージを押し付けられるようになったセトは、最後にはそのアペプ蛇と
同一視されるようにまでなってしまいました。
今ではエジプト神話の悪役といえばセトと呼ばれるほどの不人気ぶりです。

でも本当は違うんです。彼こそが太陽を守護する男だったのです。
オシリスでもホルスでもなくセトこそが、悪と戦い太陽を護る男だったのです。
オシリスびいきのファラオが続いたせいで冷や飯喰わされちゃった、
いろんな意味で不憫な神がセトというだけなんですよ。
そりゃね、セトも兄貴殺したのはまずかったとは思いますよ?
でもね、いくら酒に酔ってたからとはいえ、先に人様(?)の女房に手を出したのはオシリスでしょう?
んで不義の子まで作っちゃったんでしょう?
そりゃセトも怒るよ!セトはネフティス大好きだったんだもん!
んで不義密通の現場を目撃したセトは、頭にきて兄貴こそ殺しましたが、
同罪の自分の奥さんは離婚しただけで済ませたんだよ?
ネフティスは凝りもせずオシリス復活の為にイシスに散々協力しましたけどね?

セトがホルスと戦ったのだって、成長したホルスが
「我こそは今は冥府の神となったオシリスの正統なる後継者である!」と
宣言して向かってきたからであって、そうでなければあの神の性格を考えても、
女子供には手を出さずに我慢してたと思うんですよねぇ。

だいたいホルスもホルスですよ。
自分はオシリスの子供だって主張してるけどそれ違うんじゃないの?って思いません?
あんたが作られた時、あんたの父ちゃんには、えーと、その、アレがついてなかったでしょ!って。
あんたは木の模造品とイシスの間に出来た子でしょって。

それを言うならアヌビスのほうがよっぽどオシリスの後継者の資格があると思うんですよねぇ!

ただまぁ、後世のあたしが思うくらいですから、当時のオシリス&ホルス派なエジプトの人達に
とってもこの状況はまずかったんでしょう。
時代が流れるにつれて、「先にセトがホルス殺害をもくろんで毒蛇を放った」とか
「イシスとネフティスを迫害した」なぁんて不名誉なエピソードが
どんどん付け加えられてゆくようになりました。
今では一方的にセトが悪いことになっています。本当はそんなんじゃなかったのにねぇ!

だいたいね、ホルスはセトとの戦いの間に、自分の母親であるイシスの首をちょんぎったんだよ?
(イシスはやばいと察知して魔法で身代わり人形を作ってあったので難を逃れましたが)
ホルスとの死闘の最中にセトが「どうしてお姉ちゃんは弟の味方してくれないのさ!」とイシスに訴えた際、

イシスがついうっかり情にほだされたのに激怒して、ホルスは自分のお母さんの首を刎ねちゃうの。

それってどうなの?子供としてどうなの?
オシリス亡き後、イシスがどれだけ苦労して自分を育ててくれたと思ってるの?
いくら神だからってやっていいことと悪いことがあるでしょう?
自分の父親を殺したセトが許せないくせに、自分は母親の首を刎ねてそれでいいの?
それがまかり通るなら、嫁さん寝取られて怒ったセトが兄貴殺したっって別にいいでしょう?
身勝手にも程があると思うんだよね!

…そんなわけで、紫乃女はアンチオシリス&ホルス派セト派です。
見ちゃダメ護符の中に描かれている神を「オシリスじゃないかしら?」「ホルスじゃないかしら?」と
思ってる方々もいらっしゃるようですが、止めて下さい失礼な!
あたしの主神は不倫野郎でもどこの馬の骨か分かんない母親殺し小僧でもないわ!

かといって、じゃあ見ちゃダメ護符の中の神がセトなのか…というと、そういうわけでもありません。
彼のことは大好きですけれど我が主神じゃないのよね、やっぱり兄貴殺しだしね、彼。
太陽を守護するエジプト最強の男だけれど、そして彼の蛮行は情状酌量の余地があると思うけれど、
それでも兄貴殺しの神を主神にもってくるわけにはいかないなぁ。(ということは、主神以外の位置には
もってきている可能性が多いにあるというわけですね!ヾ(´▽`)ノ 荒事なら彼にお任せでしょ?)

ま、長くなりましたが、
以上で、今回のコラムのお題「紫乃女の好きな神々(その1)」を終わりにしたいと思います。
ホントはね、北欧神話の
ロキ神のことも書こうかと思ったんだけど、彼のことまで書き始めたら、
「アベンジャーズ」「マイティ・ソー」における彼に対するあまりにも酷い扱いについて
触れないわけにはいかなくなりますしね。そうなると超長文になるのが目に見えていますので、
いったんここで終わりにすることにいたしましょう。

それではヾ( ^ _ ^ )

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