No.60: 『アメリカ見聞録』

さてはて(・-・)y-.。o○

前回の『飛行機のお話』は、某norsinの旦那に非常に不評でした。
理由は「笑えるところがない」からだそうです(-“-)

飛行機嫌いが飛行機に乗った話を書いたんだぞ?
笑えるところがなくて当たり前だろうが!(ノ*`´)ノ⌒┻━┻

そもそもアメリカでそんなに笑える話はなかったぞ。
閉口した話なら山ほどあったが。

なんたってアメリカ入国の時からすでにハプニング続きです。
飛行機から降り立ち、入国手続きを済ませようと、入国審査官の前に立つあたし。
パスポートの提示を求められ、写真を撮られ、
左右の人差し指の指紋をそれぞれ採られます。

(なんだか犯罪者のような扱いだのう・・・)と不満に思いながら
審査官を眺めていると・・・

審査官:「ユー、カッコウ?」

あたし:「?Pardon?」(もう一度言って?)

審査官:「ユー、カッコウ?」

あたし:「????」

この哺乳類最高峰の人類に属するあたしに向かって
「カッコウ」とはなんなんだ「カッコウ」とは!
どこをどう見たらあたしが鳥類に見えるんだ!失礼なのにもほどがあるだろう!

頭の中で「しっずかなこっはんのもっりのかげっから~♪」と
BGMが鳴り響くのを無視して あたしは憮然とした表示で審査官に怒鳴りました。

あたし:「NO!」

審査官:「?カッコウ?」

あたし:「Don’t insult me!I’m a human!」(失敬な!あたしは人間だぞ!)

しばらく審査官とあたしのにらみ合いは続きました。
しかしどうやら彼は当惑しているようです。

ややあって彼は再度口を開きました。

審査官:「Sightseeing?」(観光?)

あたし:「!!!!y・・・yes」

彼はせっかく覚えた日本語を使ってみたかっただけかもしれないのに、
心無い真似をしてしまったわいと内心頭をかきながら入国審査所を出るあたし。
後で聞いたところによると、あたしの次に並んでいたERI嬢はあたし達を
ひやひやしながら見ていたんだそうですよ(-“-)

ERI嬢:「どうして入国するだけでもう喧嘩になってるの?><。」

あたし:「・・・・(-“-) 」

実は行きの飛行機に搭乗する時点ですでにライタリーチェック
(ライターを所持しているかどうかの検査)に引っかかっていたあたしです。
お気に入りのライターをこっそりかばんに忍ばせていたのですが、
見事に引っかかってしまいました(-“-) 当然没収です。悔しいったらありゃしない!

搭乗チェックで引っかかって入国審査で喧嘩腰。
こんなことではこの先が思いやられるわい!と気持ちを切り替えることにしたあたし。
気持ちを切り替えることにした途端、空港の外で
「あたしの主人が出てこないのよー! あたしの主人はどこかしらー!?」と
外人女性にワケの分からん絡まれ方をしたりもしましたが
なんとか無事にホテルに到達することが出来ました。

あたしの行ったところは、サンフランシスコという場所です。
着いたその日、向こうでお会いすることになっていた方々が
Fish Marketという店で ディナー大会(?)を催すことになっていたので
参加させてもらうことにしました。

現地の方々はそりゃもう歓迎して下さいました。申し訳ないほど。
日本からやってきた6人組のために、わざわざ見事なワゴン車をレンタルして下さり、
ホテルの送迎まで面倒みて下さったのです。
ホントに助かりましたよ(⌒▽⌒)ノ

んでもね。ディナーに行く店の名前がね、
FishMarket なんですよね・・・。

イヤな予想が見事に的中し、店内どこを見渡してもカニだらけです!
カニアレルギーのあたしにとって、これは死地に近い店なわけで!

(こりゃまずいぞ!うっかりカニをオーダーしないようにしなくては!)と
配られたメニューを凝視するあたし。
prawn shrimp (双方共にエビのこと)という単語を手がかりに
オーダーを済ませました。

しかしなーがら(・-・)y-.。o○
んまぁ、ホントに驚くべきことなんですけどね。
prawn も shrimp も水っぽいたらありゃしない!
水っぽいというのが褒め言葉になるほど味がしません。水そのもの!
おかげでアメリカ滞在中、エビを見るたびに
眉間に縦皺が寄った紫乃女です(-“-)

(いかんいかん。やはり海産物は日本のほうが上なのやも知れぬ。
ここはひとつアメリカ名産牛肉でも食うとしよう)

心を入れ替えたあたし。
次の日の夕食にはTAXI運転手さんに勧められたお店に行くことにしました。
そこではチキンやターキー(七面鳥)、牛肉などが
店内にふんだんに盛られておりました。

地元の人の間でも有名なお店のようで、
店内は食事を楽しむ家族連れなどで混雑しています。
トレイを持って一列に並びながらお店の壁に掲げられたメニューを凝視するあたし。
昨日のような過ちを繰り返すわけには参りません!

(ふぅむ・・・。地元でも有名な店なのであれば、
地元民が注文するものならば間違いなくうまいはずだ)

そう思ったあたしは、「何にするんだい?」と尋ねてきた店員に、
「あたしの前に並んでる奴がオーダーするものと同じものをあたしにくれ」と
頼みました。

店員:「同じものでいいんだね?」

あたし:「うむ(・-・)」

店員:「ソースも同じでいいんだね?」

あたし:「前の奴のソースはなんなんだい?」

店員:「彼はグレービーソースだな」

あたし:「じゃああたしもひとつそれで頼むよ(・-・)b」

そこまで言ってから、ふと気になりました。
グレービーソースとは、一般的に調理された肉から出る肉汁を元にして作る
濃厚なソースです。 てことはすなわち前の奴はステーキか何かを
注文した可能性が高いわけで。

肉は嫌いではありませんが、あまりな量であれば食いきれません。
慌てて前に並んでいる彼の皿を覗き込むと・・・

そこには大皿一杯に広がるプライムリブの姿がありました・・・。

プライムリブとは、極厚にカットされたローストビーフのことです。
んもうそこらへんのステーキ顔負けなくらいの厚みがあります。
どどーん!とした肉がばばーん!とした皿にででーん!と乗っている!
これがあたしの正直な感想でした(-“-)

(うわぁこれはしまった!)と内心焦るあたし。
ふと横を見るとERI嬢もメインディッシュの付け合せとして
山のようなマッシュポテトを皿に盛られてしまい慌てている最中でした。

(うはぁ、付け合せであの量かい!)と驚くあたしの耳に、
「で、付け合せはなんにするんだい?マッシュポテトかな?」という
呑気な店員の声が響きました。ここでうなずいてはERI嬢の二の舞です。
同じ過ちを犯すわけには参りません!o(><;)(;><)o

あたし:「ポ・・・ポテトは待ってくれ。そうだな、マッシュルームでももらおうか!」

店員:「マッシュルームだな。フレンチフライ(揚げたジャガイモ)はどうだい?」

あたし:「あ、それは好きだな(・-・)」

店員:「サラダはどうする?」

あたし:「ふむ・・・このコーンはおいしそうだな。ブロッコリーも好きだ」

店員:「よしきた」

「おいまて。量はだな・・・」と抗議するヒマもなく、
大皿の肉を覆うかのように盛られるマッシュルームとポテト。
コーンとブロッコリーはそれぞれ別の容器に山と積まれてトレイに載せられてゆきます。

唖然とするあたし。呆然とするERI嬢。
ご機嫌な店員さんは「で、サラダのドレッシングは何にするんだい?」と
聞いてきていましたが、もう何を頼んだのかは覚えておりません・・・。

負けるもんか!日本人魂を見せてやれ!と、
なんとか頑張って胃に詰め込みましたが、 とてもとても食いきれる量では
ありませんでした(-“-)
しかしオーダーしておいて残すというのはあまりにも行儀が悪いような気がしたので
マッシュルームをERI嬢の皿にごっそりと移動させてしまったあたしです(-“-)

こんな国と戦争しようなんて、どうして昔の日本人は思ったんだろうなぁ・・・。
規模が違う。そもそも食う量が違うんだ。勝てるわけがないじゃないか。
あたし達より盛り上がっている皿の中身を瞬く間に平らげてゆく隣人達を
横目で見ながら あたしはそんなことを考えておりました。
あいつら人間じゃねぇよ!(-“-)
国がデカイと胃袋までデカクなるもんなんですかねぇ!

まぁ、この店が特別なわけではなく、どこへ行ってもその「量」には悩まされましたよ。
ある中華料理店などは、メインディッシュにチキンをオーダーしているあたしの皿に
付け合せでビーフはどうだい?なぁんて言い出すほどでした。

「おいおい、あたしは日本人なんだ。
日本じゃビーフはチキンの“付け合せ”にはならないんだぜ♪」と
苦笑いで断るあたしに対して、
「そうか!あんたは日本人なのか!じゃあ日本人ならやっぱりトーフだろ!」と、
いきなりチキンの横に豆腐(のようなもの)を山盛りにしやがったりしましたしね!
一度日本文化についてアメリカとじっくり話し合いをせねばならんなと、
心底思った紫乃女です(-“-)

そして菓子類は甘い
焼きたてのクッキーを売っている店があったので、
どれおやつに・・・と1枚買ったのですが、 甘いっちゅーようなもんじゃない!
破壊的な甘さです!
これを口にねじ込めばゴジラだって倒れるんじゃないかと思うほどの甘さ!
あまりの甘さに、比喩ではなく本当にめまいを感じて額を抑えるあたしの横を、
そのクッキーをほおばりながらコーラで喉に流し込んでいるアメリカ人達が
通り過ぎてゆきます。
ホントにまぁなんだって昔の日本人はこんな国と・・・(以下略)

まぁ文句を並べても仕方がないでしょう。
ウチはウチ、ヨソはヨソ!なんですしね(-“-)←なんか違う

しかしながら。
大きな国に住む人々は大飯食らいで味覚が麻痺した連中でしたが、
その国のスケールと同じくらい、「余所者」に対して心が広く、
おおらかで温かな人々でした。
ハンディキャップを持つ人には皆当たり前のように親切でしたしね。
車椅子の方でも自由に乗り降りが出来るような装置が、
市バス(?)に標準装備されてましたし。
そういう意味では日本よりも「先進国」だなあと感じました。

健常者も障害者も、皆分け隔てなく手を繋ぎ合って生きてゆく。
それが当たり前の国。他人が自分と違っていても気にしない。
みんな好き勝手なライフスタイルで思うままに生きている。
そして自分の意見を主張したいからこそ、他人の意見も重視する。
そんな「大きな国」アメリカから見ると、集団に溶け込み目立たないように
除け者にされないようにと、無理やり自分を型にはめて息を殺して生きている
日本人の国を、今更のように窮屈に感じましたよ(^_^;)
生きてゆくだけなら、あたしにはアメリカのほうが合っているかも。
ま、飛行機に乗りたくはありませんがね!(⌒▽⌒)ノ

そんなこんなでいよいよアメリカを去る日がやって来ました。
空港にて搭乗手続きを済ませ、
航空保安検査(搭乗前のセキュリティチェックのこと)のブースへと進みます。
そこは大変混みあっておりました。ずっと検査官が大声で怒鳴ってるしね。

「靴は脱げ!タイピンなどは外せ!金属品は全てこのカゴに入れろ!
所持している薬もだ!」

なにやらモノモノシイ検査のようです(-“-)
出る時までもたついちゃあかなわんので、素直に指示に従うあたし。

実はあたしには気がかりなことが1つありました。
アメリカ滞在中にとある店で、一目惚れして買ってしまったものがあるのです。
それがこれね(・-・)b

ネコ型ステッキ!素敵なステッキです!←見事なギャグだ!

いやぁ、出来心だったんですが、冷静になってみるとこれ折りたためないのよね。
つまりスーツケースに入らない(-“-)
しょうがないので手に持って機内持ち込みをするつもりだったんですが。
でもこれって見るからに怪しそうでしょ?
しかしここまで来ては今更後には引けません。

恐る恐る検査官にステッキを見せるあたし。
彼は怪しいモノを見る目・・・というよりは、当惑したような目で
あたしとステッキを交互に見比べました。
側でそれを見守るERI嬢も心配そうです。

(なんだよ!没収とか言いやがったらこっちも黙っちゃいないからな!)
頭の中で予想反論を必死に英語で組み立てながら検査官を睨むあたし。
来るならコイ!準備はバッチリだぜ!

すると・・・
彼はそのステッキをそぉっとあたしに返してくれました。
いたわるように両手で。
そぉっとあたしの手に握らせてくれたのです。

彼の目には温かな光が溢れておりました。

思わずあたしも手を差し出し笑顔でステッキを受け取りましたが、
次の瞬間のERI嬢の言葉にハッと我に返りました。

ERI嬢:「紫乃女さん!それをついて!早くステッキをついて!><。」

そうです。彼はあたしがハンディキャップド(障害を持っている人)だと思って
その杖をそっと返してくれたのです。
ここで、西川のりお氏のように「つったかたーつったかたーつったかたったったー♪」と、
ステッキを振り回すわけには参りません!かえって怪しまれてしまいます!

仕方がないので、つくには短めのステッキをつきながら
よろよろと検査室を抜けるあたし。
どうせあたしがラストだろ。みんな揃っているかしら~と、頭数を数えると・・・

一人足りません(・-・) おやぁ?

あたし:「局長がいないじゃないか。どうしたんだ」

ERI嬢:「別室に引っ張っていかれたような・・・」

あたし:「あんだとぉ!∑( ̄▽ ̄;)」

大慌てて検査室に戻るあたし。
そこにはボディチェックを受けている局長の姿がありました・・・。

あたし:「何事ですか!?」

局長:「それがね・・・私のスカート丈が長いので調べさせてくれって・・・」

あたし:「は?∑( ̄▽ ̄;)」

当日局長は喉元が隠れるような上着を、
そして足首まで覆うようなロングスカートをお召しでした。 そして上げ底のブーツ。
元々日本人女性としてはやや高めの身長を誇る局長ですので、
頭一つ分ほどあたし達より飛び出していたわけです。

えーと・・つまり。 検査官達の言い分をまとめるとですね・・・

男が女装してるんじゃないかと。
で、スカートの中になんか仕込んでいやがるんじゃないかと。
ま、そういうわけなんですよ。

これには怒り心頭のあたしです。
ERI嬢の制止を振り切り、ステッキを振り上げて怒鳴ります。←だめじゃん

あたし:「なんということだ!顔見ろ顔!胸見ろ胸!
その方に無礼を働くと容赦せんぞ!」

ERI嬢:「お、落ち着いてーo(><;)(;><)o かえって怪しまれるよぉー!」

あたし:「危険物乙種第四類免許所持者をナメるなごるぁ!
持ち込める材料だけで飛行機落とす方法考えるぞコノヤロウ!」

ERI嬢:「あたし達が乗る飛行機落としてどうするのー!o(><;)(;><)o」

しかし幸いなことに、局長のボディチェックを担当なさった女性検査官は
(どっから見たって女じゃんこの人)というあきれた表情で、
とっとと審査を終わらせてくれました。

この件について後日norsinの旦那に愚痴をこぼしたところ、
「海外にはミニスカ必須だな( ̄▽ ̄)b」というありがたいご意見を頂きました。
皆さんも参考になさって下さい(・-・)b

まぁ、いろいろありましたが、そんなこんなで無事に日本に帰ってまいりました。
やっぱ日本はいいやね~、エビはうまいし量は普通だしさ!

あ、そうそう。なんでか知らんのですが、アメリカで食事に出されるパンってね
すっぱいものがほとんどだったの。サンフランシスコ名物なのかしら?
どれもこれもすっぱい(-“-) 多分天然酵母使ってるんじゃないかなぁ。
空気中の乳酸菌などで醗酵させた時の味に似ていたので。
で、そういうのがイヤな人はスーパーで「Sugar Dough」と書かれているものを
選びましょう(・-・)b そういうのは日本のパンの味とほぼ変わりませんからね!
肉類は総じて美味なことが多いので、Sugar Doughなパンとロースとビーフなどを
スーパーで買って、自分でサンドイッチ作って食べると量も適切だしおいしいよ!
お試しあれ(⌒▽⌒)ノ

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