*塩聖別の逆ススメ

いらっしゃいまし(・_・)/
さて。あたしが聖別をあまりオススメしないのには2つ理由があります。
大きな理由のひとつは、パワーストーンと言ってもしょせんは鉱物であり、鉱物には金属(鉄とか銅とか)が含まれる場合が多いからです。

そして金属は塩によりその組成に変化が起こる場合が大半です。
これを防ぐために開発された合金がステンレス《Stain(=汚れ)Less(=無い)つまり、錆びないって意味》ですよね。

早い話が合金でも作らんことにゃ、たいていの金属は錆びちまうってことですよ(・_・)b
で、塩分というものは金属が錆びる(=酸化する)のを助長する働きがあります。
海風の吹き付ける地域では、他の地域に比べ、金属がすぐ錆びてしまうそうな。
海岸線に放置した自転車は山間に放置された自転車より錆びるのが早い。
海から吹く風には海水の塩分が含まれていますからね(・_・)/

※ここだけのお話なんですが、実はステンレス鋼はすでに錆びているんです。
ステンレス鋼に含まれるクロムが空気中の酸素と結合して、
表面に薄い皮膜を形成しているので、それ以上酸化しない(錆びない)だけなんです。
なので、ステンレスは錆びない合金なんじゃなくて、「すでに錆びてるからそれ以上錆びない」合金だっていうほうが正しい表現ですね。

海風に含まれるような微量の塩分でさえこんな有様なんです。
なのにあなた方は聖別だと称して鉱物を塩の中に何日も放置なさる。
あなた、買ったばかりのぴかぴかの自転車を塩の中へ埋めますか?
買ったばかりの新車やパソコンを塩漬けにしますか?
パワーストーンを塩で聖別するんだ!と言い張る方は、
まずご自分の自転車なり車なりを塩の中に突っ込んでからおっしゃって頂きたいですな!話はそれからですよ。

二つめ。
なんで塩が聖別に用いられるようになったかというと、古今東西を問わず、清めの儀式に用いられてきたからです。
ま、要するに穢れ(ケガレ)を祓うというわけですな。

結構結構。

ではなぜ塩がその清めの材料として使われてきたのでしょう。
塩には防腐作用があるからです(・_・)
塩漬けにした魚は生の魚より腐りにくい。
塩漬けにした野菜(漬物)は生の野菜より腐りにくい。
だから塩には腐敗を遠ざける力があると思われたからです。
そしてその力は穢れ(ケガレ)を祓う力=清めの力であると、 昔の人は思いました。

何もこれは日本だけのことではありません。
海外でもゾンビを墓場に追いやるには、その口に塩を詰めて縫い付ければいいと言われておりますからね。←んなことやっとれるか!

国内外問わず塩というものはケガレを祓うのだと思われてきたようです。
つまり防腐作用のせいでケガレを祓うんだと思われているんですよ。
だから別に塩じゃなくてもいいんですよ。
砂糖漬けにした果物だって生の果物より腐りにくいですからね。
じゃあなぜ砂糖の聖別は流行しなかったのでしょう。
砂糖というのは特殊な植物(サトウキビとかお芋とかね)からしか 昔は精製することが出来ませんでした。
反対に塩は人の暮らす地域ならば入手方法は必ずありました。
砂糖がなくても人間は他の食べ物から糖分を体内で作ることが出来ますが(炭水化物だけしか摂取していなくても体内で糖質を作ることは可能です)塩はそうはいきません。塩がなくては人間は生きてゆけませんからね。
そして塩は海水岩塩などから簡単に精製することが出来ます。

(肉や魚を摂取することでも可能ですけどね。でも肉や魚からは精製しませんし。)

つまり昔は塩と砂糖だったら砂糖のほうが入手困難だったわけです。
なので砂糖漬けよりも塩漬けのほうが古くから行われていました。
で、塩漬けにしたものはそうでないものよりも腐りにくい。

つまり腐敗を遠ざける=ケガレを祓う・・・という方程式が出来上がったわけです。

それに塩は塩分を含んだ水を乾かすだけで白く美しい結晶になりますしね。
砂糖じゃ精製しまくらないと、なかなか白い結晶にはなりません。
あの白くて美しい色合いからも、ケガレを祓う意味が出たわけです。

ケガレて汚れているものを、白く美しいもので清める・・・ってことですね。

昔は腐敗を遠ざけることは非常に重要でした。
伝染病や飢饉などのせいで、短期間に大勢の人や動物が 死亡することはよくありました。
そして死体は時を置かずに腐敗し、 そこから様々な疫病が流行りました。
それにより二次的な被害が発生したわけです。

顕微鏡もなにもない時代では、疫病は目に見えぬ悪魔でした。
その悪魔を追い払う呪い(まじない)として、腐敗を遠ざける塩を撒くことしか当時の彼らには方法がなかった。
それしか彼らは思いつけなかった。
(無理も無いですよ。ウィルスや細菌なんていう観念自体がまだないんだもの)
やがて、ケガレを祓う儀式には塩を用いるという呪式が出来上がったのです。

(ついでに言うなら、玄関に盛塩するのは、まだ移動手段が牛車だった時代に、

牛車に乗った愛しい男を自分の部屋の前で立ち止まらせたい女が考え出した方法です。

昔の中国皇帝には大勢の愛人(後宮)がおりましたので、ライバルとの競争に勝ちたい

ある女性が 部屋の前に塩(一説では塩水)を用意しておいたのです。

牛は塩を舐めようとしてその部屋の前で立ち止まります。 毎夜それが続くので、

不思議に思った皇帝はその女性を寵愛するようになりました。

このことから「お客を呼び込むおまじない」として、現代でも日本で盛んに行われております。)
なのに現代を生きるあなた方までもが塩でケガレを払おうとなさる。
あたしは同意出来ませんなぁ(・_・)

ちょっと我が身に置き換えてご覧なさい。
不幸にしてあなたがお亡くなりになった。で、心残りのあるあなたは 化けて出てきた。
そのあなたに対して塩を撒く人がいたとしましょう。

あなた、が怖いですか?(・_・)

「塩を撒く」というのはケガレを祓う、一種のおまじないです。
だから気に入らない人がやってきたら「塩でも撒いとけ!」と言うのはその名残です。
でもその気に入らない人に直接塩を撒いたからといって その人に何か影響が出ますか?
せいぜい塩まみれになるだけでしょう?
おすもうさんだって一種の儀式として自分達の戦いの場を清めるために塩を土俵に撒くのです。
だって彼らの試合は神に捧げる儀式なのでね。
あれも清めの儀式の名残ですよ。古くから伝わるおまじないの燃えカスなんです。
そのおまじないを現代に蘇らせようとしている呪術師がこんなことを言うのは本末転倒だってのはよぉく分かってはおりますが、ケガレを祓うために塩を用いるのは、赤いワーゲンを100回見たら 幸せがやってくるっていうおまじないとレベルが変わりません。
黒猫が目の前を横切ったら不幸になるという迷信と大差ありません。

ぜってぇ嘘だ!と思われる方は、塩を用意してもうちょっとお待ち下さい。
あたしが死んだら化けて出ますので、思いっきり塩を投げつけて下さいな。
あなたの目の前で大笑いして差し上げますよ( ̄▽ ̄)b
まぁそこまでお待ち頂かなくとも、今度幽霊退治の依頼が舞い込みましたら お誘いしますので是非お申し出下さい。塩持参でどうぞ。
で、目的の場所に到着しましたら あなたと塩を放置いたしますのでどうぞ戦ってみて下さい。
塩だけで幽霊が退治出来るんなら、わざわざあたしらお呼びかかりませんて!
塩なんかゆで卵食う時しか用事ないでしょが≧▽≦b
(マヨネーズ派はあっち向いてて下さい。実はあたしもマヨネーズ派です)
結論といたしまして。 塩で聖別したって意味がありません
古く懐かしい清めの儀式を楽しみたい方はどうぞ。ただし相手は金属を含んだ鉱物です。
楽しんでいるのはあなただけってことですよ(・_・)b

いっそあなたが2~3日、塩風呂にでも浸かったほうが早いんじゃありませんかね?
あなたのケガレが取れちゃうかもですよ!≧▽≦b
納得のいかない方は 自分達が、塩漬けにされた野菜(漬物)を“ケガレが祓われた野菜”だと、そして塩漬けにされた魚介類は“清められた魚”だと思いながら 日々食べているかどうかちょっと考えてみて下さい。

んなこと思ったことないでしょう?
なのになぜパワーストーンだけはケガレが祓われたと思うんですか?(・_・)
あたしゃそっちのほうが不思議ですよ。
あなたがマイシン系の抗生物質や防腐剤でパワーストーンを 聖別するってんなら、
まだ理解を示してもいいですぜ? 現代版“腐敗を遠ざける”清めの儀式を行っていらっしゃるんでしょう?

いずれ、ずーーーっと未来の世では、「昔懐かしい清めの儀式」の伝承者として石を防腐剤漬けにする人達だって出てくるかもしれないですな!≧▽≦b
今からやっとけば、あなたはその伝承者の始祖として名を残せるかも しれないですぞ!
いやー、名誉なことではありませんか。いかがです?
あたしゃ遠慮させてもらいますけどねっ♪≧▽≦b

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