
「第三者を己の意のままに操る」と言われるのは、表情が豊かすぎるから?「第三者を意のままに操る」魔性の石。その実態は?

前回の「ルチル」のお話はいかがでしたか?
今回のお題は『操り系』の石代表選手の「オブシディアン」です。

補足しよう。この記事は「挑戦者たちのデジタルデン(https://digi-den.net/)」が、
その昔「作家たちのデジタルデン」だった頃に紫乃女が連載していたコラムを、ルールに基づいて当時の原稿のまま、転載したものだ。

しかも!大手出版社の敏腕編集長S氏による編集校正まで行われているのよ。
ちょっとムズいかもしれないけど基本的に読みやすいはず。
当時の掲載順にコラムを読み進めてもらったほうが話が分かりやすいわよ。
はいどーも。紫乃女です。
ご機嫌いかがですか?
一歩間違っていたら軽石に終わっていたガラス光沢を放つ石
今回ご紹介する石は「オブシディアン(黒曜石)」。パワーストーン好きの方なら一度はその名を耳にしたことがおありでしょう。ぬるっとしたガラス光沢を放つ、とても神秘的で美しい石です。
この石は、地球内部のマグマが地表へと噴出した時、たまたま噴出した場所に水があったせいで、マグマが急激に冷やされたことにより出来上がったものです。要するに熱々の溶岩を水中で急速冷却したら、オブシディアンに早変わりしたよってことですな! …ま、軽石になっちゃうこともあるけどね(´・_・`)

オブシディアンは英語で「Volcanic Glass(火山ガラス)」と呼ばれることもあります。その名の通りガラスによく似た性質を持っていて割れやすい石です。そして割れたガラスと同じようにオブシディアンの断面はとても鋭いので、大昔(旧石器時代)の日本ではナイフの代わりとして使われていたこともあるんですよ。
日本だけでなく、メキシコで昔栄えたアステカ文明でも、オブシディアンの刃を木の板で挟んで作った「マカナ」という剣が用いられていました。製鉄技術がまだ広まっていなかった時代において、オブシディアンの鋭い切れ味は戦さに不可欠だったということでしょう。
産地によって色も模様も多岐にわたりバラエティに富む

「黒」曜石とはいうものの、オブシディアンの色合いはその産地によって様々です。
たとえばこれ。
「マホガニーオブシディアン」
木材の「マホガニー」とよく似た色合いだということでその名がつきました。 日本だと「十勝石(とかちいし)」と呼ばれています。北海道の十勝・白滝・置戸・赤井川が四大産地なんだそうですよ。赤い部分は「ヘマタイト(赤鉄鉱)」、要するに鉄です。鉄分を多く含んだマグマが冷やされて出来上がると、こんな赤い模様の入ったオブシディアンになるんですよ。これはこれでとても美しい石ですよねぇ!


(なぜ君はそんなにやる気がなさそうなんだ)
お次はこれ。
「スノーフレークオブシディアン」
「フラワーリング(花が咲いている)オブシディアン」と呼ばれることもあります。
あえて日本語で言うなら「開花黒曜石」? なんかピンとこないね(´・_・`)
この石はアメリカのユタ州からワイオミング州辺りで産出されることが多いです。
白い部分は「クリストバライト(クリストバル石)」と呼ばれる石で、石英(要するに水晶)が高温で結晶化したものです。別名「方珪石(ほうけいせき)」。黒曜石の中で方珪石が花開くとこんな感じの石になるんです。101匹わんちゃんの逆バージョンってことですな!ヾ(´▽`)ノ
他にも、蜘蛛の巣のような模様が入った「スパイダーウェブオブシディアン」や、金色の輝きが美しい「ゴールデンオブシディアン(シーンオブシディアン)」など、様々な種類があるオブシディアン。
紫乃女が一番好きなオブシディアンはこのコラムのタイトル画像にもなっている「レインボーオブシディアン」です。
んもう超綺麗!ヾ(´▽`)ノ

(メキシコ産。各色の縁が滲んだようになっているものは「ベルベットオブシディアン」「ピーコック(孔雀)オブシディアン」と呼ばれることもある)
まるで小さな星雲を封じ込めたかのようなその美しさは、あたしの心を魅了して止みません。普段は真っ黒のくせに光を当てた時だけ中に秘めた輝きを見せてくれるだなんて、いつもは素っ気ないのにふとした時にデレる恋人みたいでロマンチックが止まらないじゃないですか! うひょーヾ(´▽`)ノ
なんでこの石がこんな虹色に光るのかってことを説明したいところなんですが、それを説明するにはまず「薄膜干渉(はくまくかんしょう)」という現象の解説が必須なんです。高校で物理を取っていなかった方には馴染みの無い話になっちゃいますので、ここでは「オブシディアンの中に含まれるヘデンバージャイト(灰鉄輝石:かいてつきせき)という石の細かな粒子に光が当たると、その反射でこんな色に光るんだよ」という、当たらずしも遠からずな説明でお茶を濁したいと思います。要するにまぁ、シャボン玉が七色に光るのとそう大差は無い現象ですよ。興味がある方は「薄膜干渉」でググってみて下さい。
「最後は中味で勝負せよ」そんなことも教えてくれる?
そうそう。最後にオカルト屋っぽいことも申し上げておきましょうか。
オブシディアンはね、「第三者を己の意のままに操る」ことに使える石だって言われているんですよ。仲良くなりたいのにこっちに興味ナッシングなあの人の関心を手繰り寄せるのにお役立ちってことですね。
だからって悪用はお勧めしません。この石の力を借りるのは仲良くなる最初のきっかけを掴むためだけにして、後は己の力で相手のハートをがっちりGETするのが「恋愛」ってもんだとあたしは思いますね。
外は真っ黒でもさ、内に秘めたる輝きがあれば、「美しい」と言ってくれる人はいるもんですよ、石も人もね。
それではまた!